宮沢賢治『春と修羅』の序

わたくしといふ現象は

仮定された有機交流電燈の

ひとつの青い照明です

(あらゆる透明な幽霊の複合体)

風景やみんなといつしよに

せはしくせはしく明滅しながら

いかにもたしかにともりつづける

因果交流電燈の

ひとつの青い照明です

(ひかりはたもち その電燈は失はれ)

宮沢賢治の詩集『春と修羅』の序
 
冒頭の3行はアニメ『銀河鉄道の夜』のエンディングで常田富士男の声で繰り返し朗読されており、また社会学見田宗介宮沢賢治論(『宮沢賢治: 存在の祭りの中へ』)でも分析されていて、強く印象に残っていたのだが、意味がいまいちよくわからないまま今日に至っていた。
初期仏教を学び始めて、ゴータマ・ブッダがこの世に生きとし生けるものすべての性質 natureと考えた3つの概念
無常 impermanence,
無我 selflessness,
因縁生起(縁起ともいう) interdependence
の詩的な表現に他ならないと気づいて、ゾクゾクするような感動を覚えた。